規模は小さく、業界的には取引先候補もやはり「一見さんお断り」となりやすい環境らしいのですが、親(同業)のサポートもあり決心されたとのことです。
まだまだ若いこともあり、明日ちょっと応援名目でお茶を飲みにいく予定です。
さて、急になんでこんな話をし始めたかといいますと、こんなニュースを見たからです。
消費税2800万円脱税容疑で告発、理容店社長を東京国税局 :日本経済新聞法人が消費税を納めなければならないかどうかを判定するにあたっては、その前々期の業績が一定以上であるかで決まります。
関係者によると、同社は、資本金1000万円未満の法人を設立した場合、年間売上高が1000万円を超えなければ消費税納税を2年間免除していた制度を悪用。経営する理容店の営業権を、実体のない複数の新設法人に譲渡したように装い、消費税約2800万円の納付を免れた疑いが持たれている。(一部抜粋して引用)
もう少し具体的には、2期前の(課税)売上高が1,000万円を超えているかどうかといった具合です。
しかし、新たに設立した法人にはこの「前々期」が存在しないことから消費税を納める義務がないこととなります。(なお、記事にもあります通り、このルールについては平成23年の改正からもう少し厳格な取り扱いとなっています。)
記事に登場する理容店はこのルールを悪用し、2年ごとにダミー会社を次々と作ってそれぞれに営業権を譲渡することで消費税の免税事業者を装っていたとのことです。
これが冒頭の話と何の関係があるのかということなんですが、実は私の知人は先ほどの「業界的に一定の信用力がないと厳しい」に対応するため、資本金の額を1,000万円として起業したのです。(詳しい方、見落とさなかったはもう気づきましたね。。)
そう、理容店が悪用した「前々期(基準期間)ルール」については、記事中でも「資本金1000万円未満の法人を設立した場合、年間売上高が1000万円を超えなければ消費税納税を2年間免除していた制度」と紹介されていましたね。
No.6503 基準期間がない法人の納税義務の特例|消費税|国税庁
(前略)したがって、新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります。
しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1千万円以上である法人については、その基準期間がない事業年度における課税資産の譲渡等について納税義務を免除しないこととする特例が設けられています。(後略)
というわけで、晴れて知人が経営する法人は1期目から消費税の納税義務者となってしまわれたわけでした。
当人は「うわー、999万円にしといても良かったね」とも言っていましたが、設立しちゃった以上はもう仕方ないので、明日は簡易課税制度についてちょっとだけ紹介してあげようかなと思っています。
また、これは別の知り合いですが、彼(代表)は先日1,000万円を超す資本金を計上していた法人で「減資を行った(ざっくり言うと資本金を減らした)」そうです。
「減資」といっても、どうやら資本金を減額した分の負債を立てただけのようですが、そうした背景には法人住民税の「均等割」というものがあります。
※画像のリンク先は東京都主税局のページこれは売上や利益に関係なく、法人の「資本金等」の額が大きいだけで法人住民税が多く課されるという頭痛のタネです。
儲かっていなくても、ただ資本金が1,000万円超(こちらは「以上」ではないみたいです)あるというだけで10万円近く税金が変わるのですから、その気持ちも痛いほど分かるというものです。
ただ、こうしたことを行う際には、くれぐれも会社のステークホルダーの方々には誠意を持ってお伝え下さいね。
今日書いたことは、ざっくりイメージとしては「資産運用NEWS:vol.52 資本金の壁|みどり財産コンサルタンツ」などで掴めるかと思いますが、地域によっても、会社設立の時期によってもルールが変わってしまうため、詳しくはお近くの税理士さんにご相談ください。
以上、今回は会社の信用力と資本金等の額にまつわる悩ましい話題でした。
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